先般、発音に関しての同化についてShunjiさんという方から質問をいただいた。研究室に戻ってきたので、資料を参照しながら、あらためて質問にお答えしたい。Shunjiさんからの質問は私の1月16日の同化という記事に関する質問であった。

ちょっと疑問も。
・/n/が後ろに続く/t/に影響を及ぼして/n/に変えてしまい、/ twéni/となる ⇒ / twénni/となりますが?/ twéni/だとtの脱落(存在しない消滅)になる。
・comfort ⇒ /kˈʌmfɚt|が/kˈʌŋfɚt|になるということですか?/ʌ/を通り超えて影響している。

(1)twenty では、前の/n/が後ろに続く/t/に影響を及ぼして/n/に変えるのです。すると/n/が二つ並んで/ twénni/となって、/n/が二つ連続します。そして最終的には/ twéni/となります。この場合の説明の仕方ですが、二つの/t/が融合して一つになったと考えても、後ろの/t/が脱落したと考えてもよいと思われます。どちらの説明も可能と思われます。

(2)ここでは、/k/と/m/の関係を言っているのではありません(私の説明が不十分でした)。ここでは、comfort の、/m/と/f/の関係が同化であると述べています。/m/は次に続く/f/に影響されて、/ɱ/の音になります。/m/は両方の唇で閉鎖を作るのですが、後続の/f/(一般に/f/は下唇と上歯で隙間をつくって摩擦音を出します)に影響されて、下唇と上歯で閉鎖を作る/ɱ/になります。この場合、後ろの音に前の音が影響されるので、逆行同化と言われます。さらに、両者(/ɱ/と/f/)が全く同じ音になるのではないので、不完全同化と言われる。


 話は変わりますが、通常はf で始まる語根には、conflict, confront, confess, confine のように、すべてcon- が前に付きます。このcomfort だけが例外的にcom- が付きます。この理由は分かりません。ちなみに、フランス語では、confort, confortable のようになっています。フランス語のスペルの方が自然なのでしょう。

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