形態素
語は一般にもっとも基本的な要素であると考えられている。There were several players on the street. という文では、players は一つの語である。しかし、この語は「プレイをする」という意味のplay とその行為者を示す -er, さらには複数形を示す -s などに分けられる。さらには、replay, played のように、re- を付けて「再び~する」や過去を示すのである。
このように最も基本的な要素と考えられている players という語がさらに細かい単位に分けられるのである。それ以上に分解して意味の持つ単位に分けられない単位を形態素(morpheme)と呼んでいる。
自由形態素と拘束形態素
形態素は2つの種類に分けられる。1つのグループは play や street のように、それだけで独立した語として用いることができる形態素で ある。このグループの形態素は、そのまま語として自由に振る舞えること から、自由形態素(free morpheme)と呼ばれる。それに対して、-ed, -er, -s, -edなどは、それだけでは語として用いられないところから、拘束形態素(bound morpheme)と呼ばれる。
自由形態素の分類
自由形態素はさらに2つのグループに分けることができる。1つはふつうの名詞、動詞、形容詞、副詞のように、「内容」を伝える形態素である。これらは語彙的自由形態素(lexical morpheme)と呼ばれている。
もう1つは、たとえば、and や or などの接続詞、in や on などの前置詞、I, her, themなどの代名詞、a や theなどの冠詞などの機能語からなるグループであり、機能的自由形態素(functional morpheme) とよばれる。
拘束形態素の分類
拘束形態素は接辞(affix)ともよばれるが、これも次の2つの下位グ ループに分けることができる。1つは屈折形態素(inflectional morpheme) とよばれるグループで、語の文法的機能を表す形態素である。そ のため、この種の形態素は意味を変えたり、品詞を変えたりすることはできない。つまり、複数、時制、人称、比較級や所有格などを表すのに用いられる。
books, played, plays, cheaper, Tom‘s これらがその例になる。
拘束形のもう1つのグル-プは派生形態素(derivation morpheme)である。新しい語を作ったりする。たとえば、元になる自由形態素と異なる品詞の語にするものである、例えば、たとえば、行為者の-erなどである。
re 「再び」 remake, replay
in 「否定を表す」 insignificant, infinite
en-「動詞形を作る」 endanger, enclose
-ness「名詞形を作る」 happiness, ugliness
-hood「状態を表す」 brotherhood, childhood
-ful「形容詞形を作る」 hopeful, mouthful
まとめ
まとめると以下のように整理整頓される。
形態素 → 自由形態素 → 語彙的 あるいは機能的
拘束形態素 → 派生 あるいは 屈折
次の文は下のように分けられる。The city’s destruction frightened the government.
語彙的形態素: city, destruct, fright, govern
機能的形態素: The, the
派生形態素: -tion, -en, -ment
屈折形態素: -s, -ed
参考(石黒他『現代の英語学』金星堂)