複合語と句

green house とは「緑の家」という意味である。また、greenhouse は「温室」という意味である。目で活字を見ると、単語が分かれているか、一緒になっているかで意味の違いが判る。しかし、音で聞いた場合はどのようにして区分けするのだろう。同じ音声になるのではないかと考える人もいるだろう。だが、この場合は、アクセントで区別される。この点を考えてみよう。

まず、意味の上で特徴がある。複合語とは、二語がくっついて新しい意味になっている。一つの語になったのである。そして、もともとの単語からは新しい意味は推測できない、という点を押さえておく。たとえば、複合語のblackbird はハゴロモガラスというある種類の鳥の名前である。一方、句としてのblack bird ならば、「黒い鳥」という意味である。これならば、個々の単語から意味が容易に類推できる。

複合語アクセントと句アクセント

アクセントだが、複合語は一つの語であるから、第1アクセントが二つ付くことはない。普通は前の語、ここでは black に第1アクセントが付いて、bird の方に第2アクセントが付く。

ところが二つの語が続くことで句を構成する場合がある。そして、複合語と同じようなスペルになる場合がある。しかし、句であり、構成する単語は別々の語であるから、両方とも第一アクセントが付く。さて、その句のアクセントだが、形容詞+名詞の場合と、名詞+名詞の場合がある。それぞれ分けて考えてみる。

形容詞+名詞

複合語アクセントの時(太字の部分に第一アクセントがある):この時のアクセントは、前に第一アクセント、後ろに第二アクセントとなる。blackbird (ハゴロモガラス)、blueprint (青写真)、grandfather (祖父)、White House (ホワイトハウス)である。

句アクセントの時:この語が単に形容詞+名詞ならば、両方に第一アクセントがつく。つまり、別々の語なのであるから、それぞれに第一アクセントがつくのである。このようなアクセントの付き方を句アクセントと称する。black bird (黒い鳥)、blue print (青い印刷)、grand father (偉大な父)、white house (白い家)

名詞+名詞

これは前の名詞が後ろの名詞に対して形容詞的な働きをする。上記の形容詞+名詞と同じように考えれば良い。

複合語として考えると、一語になったのであるから、第一アクセントは一つである。アクセントは前の語(要素)に置かれる。 woman doctor(婦人科医), glasshouse(ガラス工場), paperbag(紙入れ)などがあり、それぞれの要素から新しい意味が生じている。その例、paper boy (これは、句として考えると、「紙の少年」という意味になるが、ここでは複合語として、「新聞配達の少年」と考える。これらは成句化している。

句として見なせば、それぞれの要素が独立しているので、双方に第一アクセントが付く。意味は単語の元々の意味から類推できる。woman doctor(女医),  glass house(ガラスの家), paper bag(紙製の袋)

そのほか、dancing teacher/ dancing teacher  踊っている先生と踊りの先生
                  sleeping baby/ sleeping car      眠っている赤ん坊と寝台車 (sleeping car 「眠っている車」という意味では使われないので、ここではsleeping babyにする。

まとめ

句と複合語は異なる。句は二つの単語を足してそのままの意味になる。しかし、複合語は二つの要素が合体して新しい意味になる。句は別々の語であるから、アクセントはそれぞれが第一アクセントがつく。複合語は一つの語になったのであるから、第一アクセントは一つだけである。なお、複合語はスペルの上では、続いている場合もあれば、離れている場合もある。例えば、girl friend  はgirlfriend ともgirl friend とも両方のスペルが可能である。しかし、アクセントは、いずれの場合もgirl friend と最初の要素に第一アクセントがあるので、複合語と考えられる。ガールフレンドは「女の友達」ではなくて、もっと親密な関係を示す語である。

photo credit: Les Pieds dans l'Eau via photopin (license)
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