Contents
記事に対する指摘
2016-08-31に、以下の記事を投稿した。
有声破裂音も同様に、語頭や語末にあるときは、部分的に無声となる。つまり、語頭にあるときは、声帯は前半は震えずに無声であるが、後半は声帯が震え始めて有声となる。
それに対して、ある人から分かりづらいとの指摘があった。
抜粋文はいたずらに閲覧者を混乱させるだけです。語頭の有声破裂音は、強く発音すれば自然と出だしは無声となる。語末の有声破裂音は早く弱く発音する。等具体的に書いて下さい。
この指摘を踏まえて以下のように書き直してみる。
語頭の子音の無声化
子音の無声化といわれる現象がある。これは有声音が語の初めに来たり語末に来たりと、その位置によって部分的に無声化することがあることを指す。
なお、「無声化」とは「無声」とは厳密には異なる。無声化とは、「軟音」(呼気の勢いが弱くて、声道の緊張や狭めが弱くなる音)となることだが、ここでは便宜的に「無声」としておく。
有声音/b/,/g/,/d/では、強く発音する場合は(例えば、次に強勢のある母音が来るときなど)、肺から送られてくる呼気の流れが止められていたが、一挙に開放されるのである。その時には、開放された瞬間よりも少々遅れて声帯が振動を始める。であるから、無声音→有声音(声帯が振動を始める)という順番になる。
日本語の場合は、有声音/b/,/g/,/d/は英語ほど激しい破裂を起こさない。それゆえに、語の先頭にあっても、完全に有声である。”bag” という音と「馬車 basha」の先頭の音を比較するとその違いが顕著である。
英語において、語頭の有声破裂音は、強く発音するのであり、出だしは有声になる時間がないほどの強さで、最初は無声である。それに反して、日本語では、弱い破裂なので、最初から有声音である。
英語と日本語の破裂音の違いだが、この最初の無声の部分があることで英語らしさが感じられると言えよう。
語末の破裂音
各音の前半分が有声音で後半が無声音となる。
有声音(声帯が震える)→無声音(声帯が震えない)となるので、「早く弱い発音」として聞こえてくる。gag などは先頭のgと 末尾のgでは音の強さが異なる。末尾では、ほとんど音が聞こえない場合もある。
以下の記述は、「正しく発音すればそのようになる」という発音の現象面の解説ですがまた、「そのようになっていれば正しく発音している」という発音指導の解説でもありますよね。特に、語末の有声子音に母音が入ることに悩んでいたので目からウロコでした。ネイティブと簡単な会話をすることも多いのですが、語末の有声子音(salad,huge等)を「No!(違う)」と言われたり・・、「えっ?まぁ会話に支障はないからいいか」ぐらいに思ってはいましたが、これでスッキリしました!お時間をお割きいただいて誠に恐縮です、ありがとうございました。
>語頭の有声破裂音は、強く発音するのであり、出だしは有声になる時間がないほどの強さで、最初は無声である。
>各音の前半分が有声音で後半が無声音となる。
有声音(声帯が震える)→無声音(声帯が震えない)となるので、「早く弱い発音」として聞こえてくる。
Shuji さんへ 子どもたちに指導する場合は、無声とか有声というような話しはしないで、「語頭にある破裂音の場合は日本語よりも強く破裂しなさい。語末にある破裂音の場合は日本語の時よりも弱く発音しなさい」という程度の指導でよいのかと思います。もしも、英語の音声の仕組みに深い関心を示す子どもがいたら、音声学の視点からの話をしてもいいでしょうが。
語末の有声子音は、ほとんど発音しないぐらいの弱い発音になると思います。語末の破裂音を発音するときは、口の中の呼気圧が高まっても唇から開放しないで、唇を閉じたままで終わっても構わない、とよく言われます。日本人だと、どうしもはっきりと発音してしまい、時には母音まで後にくっつけてしまうので、ネイティブの人は違和感をいだくのでしょう。
このあたり、また投稿記事で触れてみたいと思います。
>「語頭にある破裂音の場合は日本語よりも強く破裂しなさい。語末にある破裂音の場合は日本語の時よりも弱く発音しなさい」
>語末の有声子音は、ほとんど発音しないぐらいの弱い発音になると思います。
・・・大変染みるコメントです。英会話に磨きをかけたいです。ありがとうございました!