2016-09-04
日本語の母音/i/は先行する子音を口蓋化する働きがある。口蓋化とは、舌の前の部分が硬口蓋の方向に持ち上げられて先行する子音が[i]のような響きを行う現象を指す。
英語の/I/は日本語の「イ」と「エ」の中間に舌の高さがある。それゆえに、tennis は「テネス」sixは「セックス」pit は「ペット」と聞こえることがある。
英語のbin は日本人の発音では/I/のつもりでも、舌の位置が高いので、英語話者には/i:/のように聞こえて、beat と理解される恐れがある。英語の/I/は日本語の「エ」に近く発音せよ、と学生に指導することで、先行する子音を口蓋化することを防止することになる。
サ行を発音するときに、日本語のシの音は、/ʃ/であるが、これは口蓋化から説明することができる。おそらく学生には、「セ」というような感じで発音しろと指導することで口蓋化を防止することができるであろう。