動詞に文法機能が付け加わって助動詞が誕生した。

動詞が本来的に持っている意味に対して、意思、可能性、許可、必然性、義務、予想などの文法機能が付け加わって助動詞が誕生した。多くの場合は、動詞の過去形がその機能を担うようになった。can, may, shall などは、英語の歴史の上からは、これ自体が形態的には過去形なのである。歴史的に古い段階で、これらの語は、「過去」から「現在」への意味変化を経ていたのである。

動詞の過去形が助動詞となる。

これらは過去形であったが、次第に現在形として使われるようになると、さらにその過去形として、could, might, should が生まれた。

He could not swim at all a week ago.
He said it might rain.
He asked if he should open the window?   (Shall I open ….?)

しかし、これらは今では、現在形のような意味合いで使われることも多い。

Could you tell me the way to the station?
Might I borrow your pencil a minute?
You should tell us the truth. 

これらの語の過去形を示す用法として、could have +過去分詞、might have + 過去分詞、should have + 過去分詞の用法が生まれている。

You should have come to the station earlier.

なぜ助動詞には三人称単数形の -s が付かないか。

can, may, shall, must, ought などの助動詞には三人称単数形でも -s が付かない。これはこれらの語が本来は過去形であったからだ。must, ought の語尾にある -t は過去形の語尾の名残である。

The doorbell rang.  I thought it must be Dick. 「ドアのベルが鳴った。私はディックに違いないと思った」この場合は、過去の推量であるからmust の過去形を使いたいところだ。しかし、must は起源的にそれ自体が過去の意味を持っていたから、この場合もmust を用いる。逆に言うとmust には、新たに生まれた過去形がないので、過去を表すにもmust を用いているのである。