現在完了形の助動詞は have を用いる。例えば、She has already left the city hall. のような文だ。しかし、移動、往来、発着の動詞には have の代わりに be が用いられることがある。

中世英語より以前は、移動・状態の変化を示す自動詞の完了形は助動詞としてbeを取っていて、それ以外の完了形は have を用いたのである。しかし、次第にすべての完了形にhaveが用いられるようになった。

ドイツ語やフランス語では、移動・状態の変化を示す完了形は、今でも be (ドイツ語では sein, フランス語では être が該当する)を用いている。

英語の次のような動詞の場合、come, go, rise, fall, depart, arrive, grow などが、動作よりもその結果としての状態に重点が置かれるときは、be が用いられる。

My money is all gone. 「有り金が全て無くなった」無くなるという動作よりも一文無しという状態を強調している。

The time for silence is gone, and the time to speak has come.「沈黙の時は去り、声を上げる時が来たのだ」これから「声を上げるという動作を始める」という意味が示されている。

You have come too late, but you are come.「あなたが来るのは遅かったが、ともかくも来ることは来た」来たという状態が強調されている。

(参照、三好助三郎『新独英比較文法』郁文堂 p.136)


なお、『ウイズダム英和辞典』では、この場合の過去分詞を形容詞と考えている。つまり、be動詞+形容詞として見なしている。

We’ll be gone soon.  「我々はまもなくいなくなるよ」 
 My pain is gone now. 「痛みはもうない」 
The smile was gone from Laura’s face. 「
ローラの顔からほほえみが消えた」