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異形態(allomorph)

定冠詞のaとanはそれぞれが異形態である。以下の例文を見てみる。

an apple                     a temple
an owl                         a horse
an umbrella               a university

母音の前ではan がくるが、子音や半母音の前では、aとなる不定冠詞は、意味の面から 考えれば、どちらも「ひとつ」という意味であり、同一の形態素である。 つまり、母音の前という環境におかれるとanという形式になり、それ子音や半母音の前ではaという形式となる。このように同一形態素でありながら、それが 生じる環境によって異なる形式が現れる場合、それぞれを異形態(allomorph)とよぶ。異形態を設定されるのは相補的分布である。共通の意味内容あるいは文法的機能をもっていて、また、その異形態が独自の生起環境をもち、互いにほかの環境では生じえないこと(相補的分布)があ げられる。

aとanの異形態は自由形態素に見られる例であるが、拘束形態素でも 同様に異形態が存在する。代表的な例として「複数」の文法的機能を表す -sがある。複数を表す形態素には、次のように、3つの形態素がある。なお、注意しておくべきことは、異形態というのは必ずしも綴りに現れる変化のことではなく、 音に関する変化を指すということである。次例では、すべて-sというスペルで複数形が示されており、綴り上の変化は見られない。

cats /-s/
dogs /-z/
judges /-iz/
屈折形態素-sの音はそれがつく語彙的形態素の最後の音によっての /-s//-z//-iz/の3つの異形態が現れる。このように、それぞれが表す文法的機能(複数を示す)は同一であっても、それぞれが生ずる環境が決まっており、 排他的に、他の2つが現れる環境では生じない。

参考 石黒昭博ほか『現代の英語学』金星堂

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