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must はどうして、過去形がないのか。have to を過去形にして代用しなければならないのか、musted のような形はないのか、生徒から質問が出る場合がある。
助動詞の must, may, can, shall, willのそれぞれの過去形を並べると以下のようになる。
must – ( )
may – might
can – could
shall – should
will – would
それぞれが、組になっている。直接話法から間接話法の書き換えのときなどには、He said to me, ‘ I will go to Tokyo.” → He told me that he would go to Tokyo. のように使われるので、will /would が一組であると感じられる。しかし、must の箇所は右側が空欄である。間接話法への書き換えの時は、そのままmust を使ったりもする。He said to me, “I must go to Tokyo.” → He tole me that he must go to Tokyo. のように使われたりする。しかし、基本的にはmust の過去形はない。had to で代用するしかない。
しかし、might, could, should, would は歴史的にmay, can, shall, will の過去形であるとしても、現在ではそれぞれに独自の用法が発達して、別々の助動詞のように働く場合も多い。
上記の組み合わせを見て、must にだけ過去形がないのが不思議に思える。英語史が教えるところによれば、1000年ほど前は、mot (現在)ーmoste(過去)というペアがあったそうだ。そして、mot が使われなくなり、moste が現在の意味を持つようになり、さらにmust として変化したのである。つまり、must はすでに過去形であるので、これをさらに過去形にする形は生まれなかったのだ。
言語的に親戚関係にあるドイツ語では、must に対応する語は、müssen(現在)、 musste(過去)、 gemusst(過去分詞)と変化する。参考までに。