2016-03-06

dead copy という言葉がある。「このミサイルはアメリカの1980年頃のミサイルのデッドコピーである」のように、まったくのモノマネであるという意味で使われる。自分はこの語は長らく自然な英語であると考えていた。

というのは、dead という単語は「意味を強める」形容詞や副詞としてよく使われるからである。ウイズダム英和辞典から幾つか例文を紹介する。形容詞ならば以下のようである。

the dead silence of a desert  「砂漠の完全な静けさ」
come to a dead stop 「完全に停止する」

副詞ならば、以下のような例文がある。

Tom is dead asleep. 「トムは熟睡している。」これは「トムは眠ったまま死んだ」と訳してしまいそうである。
Tom is dead right. 「トムはまったく正しい」これもなかなか訳しづらい語である。
dead ahead 「まっすぐ前方に」
dead on time 「ぴったり時間通りに」

などのように「まさに」「ぴったりと」「完全に」などのような意味を持つのである。であるから、dead copy は「完全なコピー」であるとか「意味も分からずのまったくのモノマネ」という意味もありそうである。ところが英和辞典で調べるとどの辞典もこの語は載っていない。

ネットで調べるとこの語は和製英語だと書いてある。「知財弁護士の本棚」というサイトでは、これは和製英語であり、この意味では、verbatim copying, slavish imitationを使うといいようだ。その他にも duplicate, counterfeit goods, counterfeit products, imitation などが使える。

日本人が使うデッドコピーの用法が世界的に広まると英語の世界にも取り入れられてdead copyは標準英語であるとされることもあろう。その時が来るまでは、この語は外国人の前では使わないほうがいいようだ。 

photo credit: Atlas Negative Collection Image via photopin (license)
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