5文型とは何か

英語にはたくさんの文があります。その種類は無限の数あるように見えるかもしれません。しかし、主語(S)・述語動詞(V)・目的語(O)・補語(C)という要素に注目すれば、大きく分けて5つに分類することができます。それらは、第1文型SV、第2文型SVC、第3文型SVO、第4文型SVOO、そして第5文型SVOCです。これらの文型(Sentence Pattern)をその要素に注目して理解することで、多様で複雑に見える英文も統一的に理解することができるようになります。まずは5文型そのものから理解していきましょう。

 5文型

5文型を見ていくと次のようになります。
第1文型 SV  Taro sings. (太郎は歌う)
第2文型 SVC  Taro is young. (太郎は若い)
第3文型 SVO  Taro loves Hanako. (太郎は花子を愛している)
第4文型 SVOO Taro gave Hanako a present. (太郎は花子にプレゼントした)
第5文型 SVOC Taro made Hanako happy. (太郎は花子を幸せにした)
英語のほとんどの文が上記の5つの文型に分類できます。各要素の配列と結合に注目することで、英語の文の構造を統一的に分析することができるようになります。

修飾語

これらS,V,O,Cという要素は文を構成する大切な骨組みです。そして、その骨組みを修飾するものが修飾語です。修飾語は省いても文は成立しますが、骨組みであるS,V,O,Cという要素は省くことはできません。
During her stay in Kyoto, Junko often walked on the street.(京都に滞在中、順子はしばしば通りを散歩した)
上の文では、下線部のDuring her stay in Kyotoとoftenとon the streetは修飾語(句)なので、省略しても文は成り立ちます。しかし、骨組みであるJunkoとwalksは取り除くわけにはいきません。Junkoとwalksの部分が骨組みなのです。そして、JunkoはS(主語)、walksはV(述語動詞)と考えられます。
文を構成する要素として、何が必要で何が必要でないかを見抜いていくことが、英文の構造を理解するときには大切です。練習を重ねることによって、どの部分が骨組み(S,V,O,C)であるか飾り(修飾語)であるか、素早く見分ける力がついていきます。

5つの文型と品詞

この主語、述語動詞、目的語、補語という要素は、文の中で語句がどのような機能を果たしているかに注目した分類です。それとは別に品詞(a part of speech)という分類があります。これは、語そのものがどのような性格をしているかによって分類したものです。それらは、名詞、代名詞、動詞、形容詞、副詞、前置詞、接続詞、感動詞などがあります。
ところで、各要素になれる品詞には制限があります。例えば、主語になれるのは、名詞と代名詞だけです。補語になれるのは、名詞か代名詞か形容詞だけです。表1をご覧下さい。最初の行「該当する品詞」には、各要素にどのような品詞が現れるかを示してあります。そして、各文型において、必要不可欠な要素には○が記してあります。副詞は修飾語として使われますが、必要不可欠な要素ではないので、△を記してあります。

表1 各要素と現れる品詞

要素

S主語

V述語動詞

O目的語

C補語

修飾語

該当する品詞

名詞

代名詞

動詞

名詞

代名詞

名詞

代名詞

形容詞

副詞

第1文型SV

 

 

第2文型SVC

 

第3文型SVO

 

第4文型SVOO

 

第5文型SVOC

要素となるのは

単語だけでなくて、句や節も文の要素となります。たとえば、名詞句としてto speak Englishが主語や目的語となることがあります。例えば、To speak English is difficult. (英語を話すことは難しい)や She decided to refuse his offer.(彼女は彼からの申し出を断ることに決めた)のような文です。また名詞節であるthat he did such a thing(彼がそんなことをしたこと)が主語や目的語となることがあります。例えば、That he did such a thing cannot be believed by those who know him.(彼がそんなことをしたとは彼を知る人には信じられなかった) I cannot believe that he did such a thing.(彼がそんなことをしたとは信じられない)のように使われます。

上の表では名詞句や名詞節も、まとめて「名詞」と表現しています。同様に、句や節が形容詞や副詞として機能するときも、まとめて「形容詞」や「副詞」という表現をしています。

動詞と述語動詞

5文型で使われるV(述語動詞)は文の中の機能を示す表現です。しばしば、「述語動詞」の代わりに「動詞」という言い方がされることがあります。ところが、品詞分類でも同じく「動詞」という言い方があります。どちらを示すのか紛らわしいので注意してください。may have spokenとあったら、品詞分類で「動詞」であるspokenが「助動詞」may haveと一緒になって、文の中で「述語動詞」として機能しています。ここでは、紛らわしさを避けるために、「述語動詞」を指すときは、できるだけ「V」という表現をしています。

7文型とは

これまでの5つの文型では不十分だとして、 R. Quirk et al.(1985: 53)が、SVA,SVOAという2文型を加えて7文型を提案しています。第1文型のSVや第3文型のSVOのあとにくる修飾語が文の構成に必要となる場合があり、これを別の文型として正式に認めていこうとする考えです。そして、そのような修飾語を示すのに、A(副詞類Adverbial)という表現を使っています。

SVAの例として、I have been in the garden.(私はずっと庭にいた)という文を考えてみましょう。この文では、下線部は副詞句ですが、この部分がないと文は成立しません。つまり、*I have been.だけでは不完全な文です。その意味で修飾語句でありながら、文の骨組みとなっているわけです。このような文は第1文型のSVには収まりきらないと考えて新しい文型を提案したわけです。

また、SVOAの例として、You must put all the toys in the box.(おもちゃは全部箱の中にしまいなさい)という文を見ていきましょう。この文も下線部の副詞句がないと文は成立しません。*You must put all the toys.そのために、新たに文型SVOAも提唱されたのです。

8文型とは

安藤(1983:19)では、さらに、SVCAという文型を提案しています。SVCと分類される次のような文、I am fond of cats. (私は猫が好きだ)やMary is good at mathematics.(メアリーは数学が得意だ)でも、下線部の副詞句が取り除かれると文が成立しません。このような場合は、Aも必須の要素(骨組み)であると見なす文型SVCAが提唱されたのです。そのような考えから、SVA, SVCA, SVOAの3つの文型、合計すると8つの文型が提案されたのです。

要素

S主語

V述語動詞

O目的語

C補語

修飾語

該当する品詞

名詞/代名詞

動詞

名詞/代名詞

名詞/代名詞/形容詞

副詞

第1文型SVA

 

 

(○)

第2文型SVCA

 

(○)

第3文型SVOA

 

(○)

このようにいろいろな型が提案されていますが、学習者がのめり込みすぎるのはよくないでしょう。SVC かSVCAなどと深く考える必要はないでしょう。ようは何が必要な要素であるかが分かればいいのだと思います。