2016-01-08

カプランの示す論理の流れ

カプラン(Kaplan)という言語学者が各国の留学生の英作文を比較研究して、民族ごとに論理の流れに特徴があると述べています。それによれば、英語を母語とする人の論理は直線的に流れるが、日本やアジアからの留学生の論理はぐるぐる回って、最後にようやく言いたいことが分かってくるそうです。また、フランスやロシアから留学生は話題があちこちに飛びジグザグしているそうです。

どうも、Kaplanは英語を母語とする人が大喜びしそうなことを主張しています。しかし、英語式の直線的な論理を用いる方法は、現在、世界各地のライティングのスタイルに影響を与えつつあるのは事実です。日本人からすると、あまりストレートに何かを論じられても、すんなりとは納得できない、と感じられますが、皆様はどうでしょうか。

マーカーでトピックセンテンスに印をつける

トピックセンテンスはパラグラフの中心となる文です。冒頭に置かれることが多いようですが、パラグラフ中に埋まっていることもあります。読むときに、マーカーで各段落のトピックセンテンスに印をつけて読みましょう。印をつけたトピックセンテンスだけに注目すれば、論文の主旨や論理展開は一目瞭然となります。

ところで、パラグラフ・ライティングとは、パラグラフを意識して書いていく方法ですが、書き手とは共通知識の少ない読み手に、自分の言い分を伝えるためには有効な方法と言えましょう。なぜなら、この手法に沿って書いてある論文は、さまざまな点で論理が浮き出るように工夫がしてあり、論旨がつかみやすいからです。

タイトル

書き手が苦労するのはタイトルです。どうしたらアピールするタイトルを付けることができるか迷うものです。平凡なタイトルでは読者は興味を示しません。しかし、あまりにも突拍子ないタイトルも考え物です。

学術論文では、平凡だがきちんと内容を示すタイトルが好まれます。たとえば、A Study of Twenty-First Century Pop Cultureのようなものです。しかし、読み物的なものになると、Pop Culture: Alive with Usのようなタイトルがより強く印象づけられます。

Critical Thinking

文章として印刷されると何となく権威が生まれて、内容を信頼しがちになりますが、どんなものであれ中身をすぐに鵜呑みにすることは避けるべきでしょう。

書き手の論理展開を注意深く見ることで、書き手の考えが信頼に足るものかどうかを判断することができます。そのためにも、問題提起自体がおかしくはないか、パラグラフの展開が納得できるものか、理由の提示の仕方に無理はないか、主張と反論の提示はバランスがとれて妥当であるかかどうか、これらの点に常に注意していくべきでしょう。

注意深いパラグラフ・リーディングによって、客観的・分析的・批判的に読むことができるようになります。それはCritical Thinking(批判的思考)へとつながるのです。

photo credit: from adventures in the wild by ernest thompson seton via photopin (license)
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