2016-01-04 

似たような語句があるとその細かい使い分けには迷うものです。ここでは、say, tell, speak, talkについて考えてみましょう。

sayは言った内容(音声)を示す

動詞のsayは言葉を発するために声を出したことを強調しています。動詞の目的語にあたるのは、発話した音声そのものになります。例えば、Say “Cheese.”では「Cheeseという音声自体を出しなさい」と述べています。あるいは、飲み物を注いでいるときにSay when.(止めるところで言って)に対する答えはwhenと言うことになります。

つまり、sayは言葉の内容(伝達内容)を示すのです。つまり発した言葉そのものを目的語にすることができるのです。
He said, “No comment.” (彼はノーコメントと言った)
He said the information itself was wrong.(彼は情報そのものが間違っていると言った)

She said that she had been badly treated before.(彼女は自分は以前は手荒く取り扱われたと言った)
He said that he had been born and bred in L.A. (彼は自分はロスアンジェルスで生まれ育ったと言った)

Tellは相手に伝達することを示す

一方のtellですが、伝える相手を意識するので、聞き手が必要になります。つまり、誰かに何かを伝えるときに用いられる動詞です。誰が相手であるかを示す間接目的語が必要となります。「内容を誰かに伝える」というように、情報を誰かに伝達したことに力点を置いています。that 節を目的語にする時は、that節の前に、伝達する相手が必要となります。

*He told that he had to leave New York soon.
He told me that he had to leave New York soon. (彼は私に自分はすぐにニューヨークを発たねばならないと言った)

そして、tellがSVOO構文で使われたときは、間接目的語は相手を示しますが、直接目的語は話した内容を示します。

Did you tell him how you felt about him?(彼についての自分の気持ちを彼に伝えましたか)
I will tell you what. (こうしましょう)

tell が間接目的語なしで使われている場合も、間接目的語が省略されていると考えるべきです。

目的語がa lie, the truth の時  You should tell the truth. (あなたは[私に]真実を語るべきだ)
伝達相手oneself が省略されている時 We cannot tell what will happen in the future. (この場合は必ずoneself は省略される)(私達は将来何が起こるか自分たちに語ることはできない=鍾愛何が起こるか分からない)

練習問題1

次の(  )の中にsayまたはtellを入れて意味を述べなさい。
(1) You have to (    ) hello to your friends.
(2) I will (    ) a story.
(3) You shouldn’t (   ) a lie.
(4) You have to (    ) “yes” or “no” clearly.
(5) Can you (    ) “Good morning” in Japanese?
(6) (    ) me the truth.

speakとtalk

speakとtalkはともに、「話す」という意味です。どちらも伝達する行為に重点が置かれ、伝達する内容には重点は置かれません。それゆえに、次のような文は非文となります。

*She spoke that she had been badly treated before.
*He talked that he had been born and bred in L.A.

spoke, talked とも行為に重点が置かれます。しかし上記の文では、下線部が長くて情報量が多くて文末にきています。ここに情報の焦点がおかれますので、どちらに焦点があるのか聴き手は困惑します。そのことからも、spoke, talked と共起しないことが分かります。

さて、この両者の違いですが、speakは(1人で)声を出すという意味が強いのですが、talkは話す相手がいて、「双方向のやりとり」を前提にするという違いがあります。

I want to talk to you. (あなたとお話がしたい)
I want to speak to you. (あなたに言いたい、苦情などを言うニュアンスがでてくる)
People were talking while the lecturer was speaking. (講演者が話しているときに、聴衆は互いに私語をしていた)
He spoke to the lady.(彼はその女性に話しかけた)
He talked about the matter.   (彼はそのことについて話した)。話し相手を示すのは about ではない他の前置詞を使います。(talk to, talk with)

これらの例文が示すように、speakを使うと一方的に話しているという意味になりますが、talkでは互いに話しあうという意味になります。

また、speakには公式に、talkには非公式に(話し合う)というニュアンスもあります。公的な場での講演はspeechになりますが、そのあとのパーティでは人々はくだけた雰囲気でtalkをします。

いろいろな例

Please speak more clearly. (もっとはっきりと声を出して話して)
She has a nice speaking voice. (彼女はとても良い声をしている)
Speaking. (私です。→電話で「声を出しているのがその人である」との意味があります)
My baby can talk now.(赤ちゃんはもうお話が出来ます)
summit talks (サミット会談)
a talk show (トークショウ)
a talk host, a talk radio, a talk therapy 
He and his wife spoke sometimes, but seldom talked. (夫婦の一方が一方に話しかけることはあっても、おしゃべりに発展することはめったになかった。)

練習問題2

次の文の意味を述べなさい。

(1) Ken has been speaking almost in a whisper.
(2) Uncle George went on talking, in a low voice.
(3) It is my turn to speak.
(4) Several parents spoke to me expressing their grave concern.
(5) They were finishing lunch and talking loudly.

ポイント

tell, say, talk, speak の違いを一言で言えば、tellは「相手に伝達した」、sayは「ある内容(の音)を発した」、talkは「相手と双方向でやりとりした」、speakは「一方向から話をした」ことを示しています。

相手がいなくても(あるいは相手をあまり意識しなくても)speakが成り立ちます。A strange man suddenly spoke to me. (突然、声を掛けてきた。)しかし、tell, talk はちゃんとした話し相手がいないと成り立ちません。 I told you.( だから、言ったでしょう)。I talk to her. (彼女と話し合った。)talk は対話をした。あの人はトークが上手だ、のように相手を強く意識します。

say は音を発声するというニュアンスが強いのです。Please say “yes.” (イエスと言って。 )

(参考) 佐藤ヒロシ『五分型の底力』(プレイス)

photo credit: Rosario speaks via photopin (license)
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練習問題の答

  1.  (1) say       (2) tell       (3)  tell        (4)  say        (5) say           (6) Tell
  2. (1) Ken  はほとんど囁くようにずっと(一人で)話していた。
    (2) George 叔父さんは、(相手に対して)小声で話し続けていた。 
    (3) 次は私が声を出す番だ。
    (4) 何人かの両親たちは、重大な関心があることを、私に語った。 
    (5) 彼らは昼飯を食べながら互いに大声で話していた。