2015-12-30

前置詞+名詞が副詞句か形容詞句か迷う場合がある。たとえば、I saw a dog in the street. ならば、私は通りで犬を見たのか、私は通りにいる犬を見たのか、と二つの訳が可能である。

副詞句ならば動詞や他の形容詞などを修飾している。形容詞句ならば、名詞を修飾している。in the street がsaw という動詞を修飾しているならば、「私は通りで犬を見た」となる。しかし、a dog という名詞を修飾していると考えるならば、「通りにいる犬」となる。

学生に説明するときは、このあたり面倒くさい。要素に分けなさいと言うときは、svo 型になるのだが、a dog in the street とまとめて目的語とすると形容詞句になるし、a dog だけを目的語とするときは、in the street が副詞句になる。

しかし、往々にしてまぎらわしい場合がある。以下のユーモアを見ていこう。佐藤ヒロシ『五文型の底力』(プレイス刊)(p.34)からの引用である。

(In clothes shop)
Customer: Can I try on that blue suit in the window?
Clerk: No sir.  You’ll have to use the dressing room like everyone else.

 これは in the window を顧客は形容詞句として「ショーウインドの中にある青いスーツ」との意味で言ったのに、店員は「ショーウインドウの中で試着する」と解釈したという冗談話である。

 

photo credit: empty suits via photopin (license)
photo credit: empty suits via photopin (license)

もちろん、現実にはこのようなことは起こりえないが、前置詞+名詞を動詞を修飾する副詞句、と解釈するか名詞を修飾する形容詞と解釈するかで意味が異なるという面白いジョークである。