2015-10-25

オーストラリア英語の特徴を具体的に見ていこう。オーストラリアは広大であるが、地域方言が見られないという点が一つの特徴である。しかし、社会の階層によって英語が異なる。Mitchell and Delbridge (1965)は、階層を三つに区分けして、人々の使う英語を上から、Cultivated Australian、General Australian、Broad Australian(以下それぞれCA, GA, BA)と呼んでいる。

これらの中でCAがイギリスのRP(容認発音)に最も似ており、BAが逆に最も異なっていて訛りが強く、GAがその中間に位置する。特徴的なオーストラリア英語は、GAあるいはBAに見られるのである。

発音は次のような特徴を示す。母音/ei/が/ai/に変化することが大きな特徴である。todayをトゥダイSunday をサンダイと発音する。母音変化の例として、station→スタイション、eight→アイト、 right→ロイトなどがある。またアルファベットのHを「ハイチ」と発音する人もいるが、これはアイルランド系の人の特徴と言われている。その他に、 母音がアメリカ英語と異なる例として、code→カウド、about→アビャウト、 now→ニヤウ、seat→サイト、sheep→シャイプがある。

オーストラリア口語には指小辞-ie, -yによる派生語が世界の他の地域の英語に比べて多いと言われている。これらは、女性が頻繁に使うのだが、オーストラリアでは、男性も盛んに用いる。例としては、Aussie(<Australian、オージー)、bushie(ブッシュの住人)、chalkie(教師)、hostie(<air hostess)、mossie(<mosquito)、sandy (<sandwich)、sickie(病欠)、surfie(サーフィー狂)、tinnie(缶ビール)、truckie(<truck driver)がある(山崎 2006)。

接尾辞-oによる派生語も他の英語に比べると際立っている。arvo(<afternoon)、commo(<communist)、compo (<compensation)、druggo(麻薬常用者)、galvo (<galvanized iron), muso(<musician) などがある(山崎 2006)。

出典:

山崎真稔「オーストラリアの英語」
   http://www.amelia.ne.jp/user/reading/dialect_02_05.jsp 

Mitchell, A.G. and A. Delbridge. 1965. The Speech of Australian Adolescents. Augus and Robertson.