2015-09-03
今アメリカで注目を浴びている問題の1つとして、Anchor Baby が挙げられる。アメリカは国籍を与えるのに、出生地主義(jus soli)を取っている。つまりアメリカ国内で生まれた子どもは自動的にアメリカ国籍が得られるのである。日本などは血統主義(jus sanguinis)を取っている。日本人の親から生まれた子どもだけ日本国籍が与えられるのである。
たくさんの妊婦がアメリカにやってくる。そして、アメリカで出産する。すると赤ちゃんはアメリカ国籍が得られ、アメリカ人の子どもを養育する親は在留許可が得られる。それが目的でアメリカに来る人も多い。このように、アメリカに在留する目的で、アメリカに来た妊婦から生まれた子どものことをAnchor Baby と呼んでいる。
今朝のFox Radio News を聴いていたら、トーク番組でこのことが大問題になっていた。保守系の人が憤慨して、undocumented worker (不法に滞在して働く移民)がアメリカ人の仕事を奪っている。諸悪の根源はillegal immigrant とか anchor baby の制度であると主張していた。とりわけメキシコと中国からの妊婦がアメリカに来るので、その子どもたちにはアメリカの市民権を与えるべきない、と主張していた。それに対して、相手は、「移民たちはアメリカに富をもたらしているのだ。働くことでアメリカに貢献している」と反論していた。
アメリカは移民の国である。もともといた先住民(American Indians)の土地を奪って、あるいは騙して土地を奪ったのである。新しい人が入ってこようとするとそれを歓迎しない。自分が移民するのはOKだが、他人が移民してくるのは歓迎しない。また社会問題の存在を少数派になすりつけることも人間の特徴である。昔のヨーロッパではユダヤ人がその攻撃の対象になっていた。現代の日本でも同じことが起こるかもしれない。我々は気をつけるべきである。