スポンサーリンク

冠詞のさまざまな用法(総称化と特定化)

総称とは

「すべてのものが~である」という意味を示す文を総称文と呼びます。冠詞をどのように使うことで、その意味を表すことができるでしょうか。

練習問題:次の文を英語に直しなさい。
「ライオンは危険な動物です」。

どのように訳したでしょうか。特に冠詞の付け方が迷ったかもしれません。自分がどの点で迷ったかを思い出しながら、下の説明を読んでいきましょう。

総称的な用法

上の練習問題の答えとしては、次の(a)から(c)までの3通りの答えが可能です。不定冠詞aを名詞に付けたり複数形にしたりすることで総称的な意味が生まれます。また定冠詞theを付けることでも、その種全部を示すことができます。しかし、その認識には少々の違いがあります。
(a) A lion is a dangerous animal.
(b) Lions are dangerous animals.
(c) The lion is a dangerous animal.

不定冠詞を用いた(a)の文では、ライオンという集合の中からどれか一匹のライオンを代表として取り出してそれについて述べています。つまり、aがanyの意味で「すべて」という意味になっています。(b)の文では、複数のライオンを取り出して、代表としてそれについて述べています。この場合ですが、「多くのライオンが」という意味になっています。(c)の文では、(a)(b)の二つとかなり異なる認識方法をとっています。この形式は、lionの集合を頭に描いていますが、個々のメンバーに見られる細かな差異を捨象した上で、その特徴を最もよく表すと思われる像、別の言い方をすれば、原型またはプロトタイプを提示しています。総称文にはこの3つの表現法が可能です。

総称的な意味を持たない不定冠詞

このばあい、集団に関わると考えられる動詞や形容詞abound, extinct, numerous, widespread などを使うのは、不定冠詞を使った文は一匹だけを示すので不適切と考えられます。
*A lion is becoming almost extinct.
Lions are becoming almost extinct.(ライオンはほとんど絶滅しつつある)
The lion is becoming almost extinct.

定冠詞と対比する名詞

このことは、上位的な概念を想定することで理解しやすくなります。「the+名詞の単数形」という形式は、問題となっている名詞の上位的な概念を想定して、その上位語のカテゴリーに属する下位項目を対立的に提示しようとする場合、つまり下位項目間の対比を示そうとするときに使われます。その項目だけを限定するtheであると考えられましょう。以下、石田(2008: 190)の説明によります。
The cheetah is the fastest of all the animals.
The penguin is more famous than any other bird there.

ここでは、上位語としてall the animals やbirds thereが想定されており、その下にあるleopardやpelicanと対比して考えられています。
次の (a)では、machineという上位語を想定して、telegraphやfaxとの対比が意図されています。それに対して、(b)では目前にあるその電話が鳴っていることを示します。
(a) The telephone was invented by Alexander Bell.
(b) The telephone is ringing.

定冠詞の限定する力

The sun rises in the east and sets in the west.
この場合は、方角という上位概念があり、そこを東西南北に分割して、その東の部分であることを示しています。同様にして、(a)~(c)では、時間という上位概念があり、その下で現在、過去、未来だけを限定して示しているので定冠詞がつきます。

(a) The play is set in the present.
(b) In the past, he wrote with a pen; now he uses a computer.
(c) Nobody knows what will happen in the future.
なお、(d)では、過去・現在・未来と時間を三等分したものではなくて、単に今という点を示しているので冠詞は付きません。その意味で前置詞はatが使われているのです。
(d) She is busy at present and can’t speak to you.

定冠詞theはどのように特定されるか

季節を表す語、例えば、summerも定冠詞がついて限定されます。しかし、その限定の仕方(上位概念)が異なるときがあります。
(a) The summer of last year was very hot. (→同類集合での限定化)
(b) In the summer I take a vacation and go to Hawaii.(→春夏秋冬という異種集合での限定化)
この場合、(a)は一昨年のsummer, 昨年のsummer, 今年のsummerと沢山ある中の昨年と限定しているのでtheがつきます。ところが、(b)のsummerはwinter, spring, autumnなどと比較して限定したthe が付いています。

次の(c),(d)ですが、(c)では、13日のeveningを、同種の14日のeveningや15日のeveningと比較してthe が付いています。(d)では、morning, afternoon などの異種との比較で限定のthe が付いているのです。
(c) He died on the evening of October 13, 1990.
(d) I don’t work in the evening; I just relax.

ある範囲を想定して、その中の一定の範囲を示すthe

以上をまとめると、theには、ある範囲を想定して、その中の一定の範囲を示す(限定する)働きがあります。(a)では、時間の流れという範囲を想定して、その中で過去という一定の部分、現在という一定の部分、未来という一定の部分を示します。そのためにtheがついているのです。(b)は方角、(c)は一日、(d)は季節という範囲の中のある部分を示すので、theが付きます。
(a) the past, the present, the future
(b) the east, the north, the west, the south
(c) the morning, the afternoon, the evening, the night (→at night)
(d) the spring, the summer, the autumn, the winter

guitarの例

下の例(a)では、guitarという楽器が他の楽器と対比的に、限定的に使われているのでtheがつきます。この場合は楽器という上位概念があるとも考えられます。
(a) Junko plays the guitar well.
なお、次の(b)では、そのギターという意味です。
(b) Junko bought a guitar and a banjo, but she gave the guitar to Sachiko.
しかし、スポーツの場合は、個々のスポーツは、それぞれが独立したものと見なされ、あるスポーツが他のスポーツと対比的に、限定的に捉えられていないので、(c)で見るように、theがつきません。
(c) We play soccer after school every day.

by the hourのタイプ

単位を表す場合、theがつきます。これはなぜでしょうか。これらの場合では、「数量単位」という上位概念が想定されて、その中のある部分を限定しているので、定冠詞がつくのです。
We get paid by the hour.
Eggs are sold by the dozen.
These vegetables are sold by the kilo.

練習問題2

次の文で、なぜ不定冠詞や定冠詞が付くか説明をしなさい。
(1) I have a judo uniform. This is the uniform.
(2) He can play the guitar well.
(3) The sun rises in the east.

wrongとrightの冠詞

「正誤性・適切性」という上位概念があるとすると、そのもとで、wrong とrightは対になって限定する働きがあるので、定冠詞theをつけます。
(4) Yesterday I took the wrong bus.
(5) I got the right answer.
ただし、truth とlieは対ですが、lieはたくさんあるものの1つなので不定冠詞をつけます。truthは1つしかないのでtheが付きます。つまりtruthとlieを包括するような上位概念はありません。
(6) I need to find out the truth about the man.
(7) Why do you think that his story is a lie?

まとめ

the がつくのは
(1)話し手と聞き手が了解しているもの、互いにあれだと分かるもの
(2)世界に1つしかないもの
(3)theには上位概念を想定して、その下位概念を示す(限定する)働きがあります。theがついている名詞があったら、上位概念は何か、その範囲内で何かと対比されていないか考えてみましょう。
(4)1つだけに限定するもの→the beginning, the corner, the end, the center, the peak
the history of Japan, I wrote a history of Japan. the president of Koka, a professor of Koka

スポンサーリンク