come と goはどう違うか

よい意味と悪い意味

come+C(補語)は「良い」意味を、go+C(補語)は「悪い」意味を示すといわれています。三省堂の『ウイズダム英和辞典』(p.391)には、「goが話し手・聞き手の視点から離れてゆくことを表すために、否定的態度や疎外感を暗示することが多いのに対し、comeは逆に話し手・聞き手の視点に近づいてゆくことを示すため肯定的態度や親近感を暗示することが多い」と記されています。たしかに多くの事例を見ていくと、comeと結びつくと肯定的な意味となり、goと結びつくと否定的な意味になるようです。

 comeを用いた例文

(1) I made my dream come true.
(2) Everything will come right if I persuade him.
(3) That car comes equipped with air conditioning.
(4) My grandmother finally came out of coma. (祖母は昏睡状態からついに回復した)

☛come alive(生き生きとする)、come in handy (役に立ってくる)、come right (元通りになる)、come out right(判明する)、 come round 機嫌を直す)、come true(本当になる)、 come into being (実現する)、come under the spell of (~の魅力にとりつかれる)

goを用いた例文

(5) This milk went bad.
(6) That sophisticated machine went dead.
(7) His sight is going.
(8) My father went insane when he was fifty.
(9) Her daughter goes missing, so everybody is looking for her.

☛go bankrupt (破産する)、go barefooted(裸足で暮らす)、go berserk(凶暴になる)、go cold (冷淡になる)、go crazy(気が狂う)、go dinnerless(食事をとらないでいる)、go foodless(何も食べないですます)、go dry(川が干上がる)、go insane(発狂する)、go mad(気が狂う)、 go wild(熱狂する)、 go pale(青ざめる)、 go queer(頭が変になる)、 go short of(~が不足する)、 go white(青ざめる)、 go wrong(失敗する)

☛英語と日本語では色の訳が異なることがあります。
white-faced, ×白い顔  青信号 ×blue light, blue signal
スペクトルは赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の順に並んでいますが、これはそれぞれの波長の長さが違うために生じる現象で、光の中で最も波長の長い部分が赤く見え、短い部分が紫に見えるのです。この、人間の目で見える領域の光を「可視光線」と呼びます。この領域からさらに波長が長くなると、赤外線域になり、逆に波長が短くなっていくと紫外線域になりますが、この領域は人間の目には見えません。

練習問題

次の英文の空所にcomeかgoのどちらかを活用させて入れなさい。
(1) That dream of yours will ( ) true someday.
(2) My uncle ( ) blind in his old age.
(3) We cannot eat this meat. It has ( ) bad.
(4) Nothing has ( ) wrong with this mobile phone.
(5) The thing ( ) from bad to worse last year.

comeとgoで表される移動

comeは「来る」、goは「行く」と訳されますが、日本語の意味と必ずしもぴったりと重なるわけではありません。comeは話し手または聞き手へ向けての移動であり(speakerの縄張りへの移動)、goはそれ以外(つまり第三者)へ向けての移動を示します(speakerの縄張り外への移動)。聞き手と話し手の会話は以下のようになります。

○聞き手への移動
I’ll come to you.(私はあなたのところへ行きます)
×I’ll go to you

○話し手への移動
You’ll come to me.(あなたは私のところへ来ます)
×You’ll go to me

○第三者への移動
I’ll go to him.(私は彼のところへ行きます)
×I’ll come to him.

世界の中心にいる自分(meism)

自分から規定していく西洋式の考え vs. 世界から自分を規定していく日本式の考え は対立的である。

山田太郎  Taro Yamada  (日本では姓という家族があって自分がいますが、西洋では、逆に自分がいて、それから家族という構成が考えられます)

京都市右京区西京極葛野町123 山田花子
(Ms) Hanako Yamada     Kadonomachi 123, Nishikyogoku, Ukyoku, Kyoto City    (Ms. Mr. などを示しておくと、相手はあなたの性別やどのような敬称をつければいいのか分かります)

住所の書き方で示されているように、西洋では、自己を主張します。そして、小さな時から自己を発表する訓練をしています。

直示(deixis)

空間における自分と指示するものとの関係を「直示」(deixis)といいます。下の図では、①>②、③>④という価値判断が存在しています。

①まず自分     ②次に外部

英語では、2つの語が並ぶときは、①近くのもの→②遠くのもの(あるいは、③中に入るもの→④外に出るもの)という配列で並びます。そしてその配列は英語における価値判断(価値の高い→低い)を示していると考えられます。
例→ this and that, here and there, there and yon, come and go, in and out, buy and sell, inhale and exhale

英語の文化では話者がもっとも重要であり、世界の中心であると考えられるので、話者がいる地点を優先する、話者がいる地点へと移動する表現が先にきます。この点ですが、面白いことに、日本語では逆になっています。これは相手をたてるという美徳的表現で日本文化の香りを表しています。
例→ あれこれ、あちこち、そんなこんな、だれそれ、行き来、出し入れ、出入口、売買、売り買い、呼吸、彼我
☛有名なナルニア国の物語のThe Magician’s Nephewでは、はじめに次のような文章があります。It is a very important story because it shows how all the comings and goings between our own world and the land of Narnia first began.(それはとても大切なお話です、と言うのは私たちの国とナルニア国との間の行き来がどのように始まったから示してくれるからです)

意味という視点からの語順の日英比較

(1)肯定的要素→否定的な要素(これは英語も日本語も同じ)
当否、是非、幸不幸、有無、出欠、勝ち負け、生死、好き嫌い、大小、長短、上下、愛憎、明暗
yes or no, positive or negative, all or nothing, happy or unhappy, true or false, plus or minus, presence or absence, live or die, good or bad, rise and fall, hit or miss, light and dark, up and down

(2)文化的・社会的・優劣・主客(これは英語も日本語も同じ)
男女、父母、親子、老若、正副、官民、公私、衆参(両院)、金銀、師弟、松竹梅
boy and girl, husband and wife, father and son, master and servant, man and beast, God and man, public and private, gold and silver, heaven and hell, church and state[政教], employer and employee

(3)個人的な主観や時間順序
朝夕、昨日今日、寝起き、因果
before and after, present and future, yesterday and today, cause and effect, hide and seek

(4)直示(deixis)
あれこれ、あちこち、そんなこんな、だれそれ、行き来、出し入れ、売買、売り買い、呼吸、彼我、住所、氏名
this and that, here and there, there and yon, come and go, in and out, buy and sell, inhale and exhale
(英語文化では話者がもっとも重要であり、世界の中心であると考えられるので、話者に関する表現が先にくる)

空間概念の相違

lastは「過去の最後の時点」の意味で、most recent(今にもっとも近い)ですから、「今」という時点に一番近いlast night, last eveningまでが、lastという形容詞の使える範囲です。それ以前の「昨日の午後や昨日の朝」では、yesterday afternoon, yesterday morningと言います。なお、last eveningとyesterday eveningは両方とも使われるので、境界線上にあると言えましょう。ただし、一般にはyesterday eveningの方が好まれます。
nextも「今」という時点に一番近いnext morning, next afternoonまでがnextという形容詞の使える範囲です。それ以降の「明日の夕方」「明日の夜」は、tomorrow evening, tomorrow nightとなります。