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歴史

ノルマンディー公ウイリアムの存在は英語の歴史に大きな影響を与えた。彼は、英国王のエドワードの死後に、イギリス王の継承権を主張して、エドワードの義弟のハロルドと対立をした。両者は、1066年にヘイスティングスで戦い、この戦いでウイリアムは勝利した。彼はイングランドの王位に就いた。かれはウイリアム征服王と呼ばれている。

ウイリアム王は、自分の部下を新しい貴族として、高位の聖職者や政治の指導階級にノルマン人をあてた。この結果、社会の上層の支配者はフランス語を話すようになり、以後300年はフランス語が公用語になった。この間に英語は被支配者である一般大衆の言葉になってしまうのである。

ノルマン・コンクエストと英語

ノルマン・コンクエスト期に流入したフランス語の特徴であるが、14世紀の終わりまでに借入されたフランス語は1万語とも言われている。そして、その75パーセントが今日にも生き残っている。元からの英語を本来ととすると、それらは単音節的であルのに対して、フランス語からの借入語は多音節的で重い感じの言葉が多い。また、フランス語は抽象概念を表すのに優れており、物の状態や属性を表す形容詞に豊富であった。これらのフランス語は、知的概念や活動、社会の諸制度、そして文化生活を支える事物を表す語彙が多かった。

英語の二重構造

そのために、英語には二重構造とも言える構造が生まれた。本来的で具体的な語彙は英語であり、抽象的な語彙はフランス語由来である。英語本来語とフランス語からの外来語とは、対照的な運用のされ方をしている。たとえば、個々の名称は英語本来語で表し総称は外来語で表すといった傾向がある。これは個々の事物は具体的であるが、それらをまとめ上げるのは、抽象的な概念を用いる。つまり、概念的に抽出することである。また、素材は英語本来語で表し加工物は外来語で表すといった傾向がある。

英語本来語、フランス語からの外来語、フランス語の比較

上の表がこれらの関係をよく示している。autumnはフランス語 の automne と同語源 で外来語である。 seasonは、フランス語のsaisonセゾンから来ている(デパートの名前にセゾンがあるが、これはフランス語のsaisonから来ている)。なお、青 blueは古フランス語からの借入語で、フランス語 bleu と同語源である。家畜などは育てるという視点、飼育人の視点からは英語本来語が使われているが、食べる人の視点からはフランス語が使われている。

英語本来語

英語本来語の多くは、日常生活の言葉として使われている。 たとえば、父母兄弟など個々の名称、個々の色名であるbrown, green, red, yellow, black, white、春夏秋冬のspring, summer, fall, winter、個々の動物の名であるbear, deer, dog, fox, rat, wolf などである。これらに対して、家族という総称はラテン語経由でフランス語に入った familyである。色彩という総称はcolorであり、季節の総称はseason、動物の総称はanimalであるが、これらはフランス語から入ってきた言葉である。

しかし、たとえば、本来語の fishに対して、個々の魚の名前である sardine(いわし)、salmon(さけ)、tuna(まぐろ)などが外来語となるように逆の場合もある。

英語本来語には、はっきりとした特徴がある。 文法的な機能が主で語彙的な意味が希薄な言葉である冠詞・前置詞・代名詞・関係詞・接続詞・疑問詞・否定詞は、 ほとんどが本来語である。そのほか、助動詞も本来語である。これらの機能語のいくつかは、統計的にも、よく使われる語の最上位を占める。

二つ目の特徴は、不規則変化をする語はほとんど英語本来語であり基本語である。不規則変化とは、ドイツ語には残存しているが、英語では失われたゲルマン語の屈折(語の末尾の変化によって、文法的な役割を示す)の名残であり、英語語彙の古い層をなしている。

三つ目の特徴は、wで始まる単語は、大半が本来語であるという点である。wとは、uの重なり、double-uのことである。ギリシャ・ アルファベットやラテン文字には、W・wの文字はなく、後世に大 陸で考案された文字である。英語の故郷であるゲルマン語のw, wh, hwの発音の表記に用いられるようになった。

実際の語感と歴史的な事実との差

以上のように、英語においては、本来語と外来語とがあることから、語彙が二重 の構造になっていると共に、それらの用い方が異なり語感も違っている。日常的な表現には本来語、公の場では、外来語を使う傾向が顕著である。これは、日本語では和語(日本語本来語)と 漢語(外来語)を使い分けているのに似ている。しかし、この区分ははっきりとした線引きされている訳ではない。実際の語の運 用では、例えば、bus, desk, face, idea, part, river, sign, act, push, fine, sureのような短い綴りの語は外来語であっても日常語となっていて英語本来語だと感じられてる。

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