この前、学生にアルファベットを最後まで言ってもらったら、ABC ……. と来て最後の Z を「ゼット」と発音していた。発音記号は/zed/とあるので、本当は「ゼッド」と最後の子音は有声になるのだが、その点は今日の記事では触れない。
ポイントは、Zの音をアメリカ英語で発音するかイギリス英語で発音するかである。アメリカ英語では、/zi:/であり、イギリス英語では、/zed/である。日本の英語教育界では、イギリス英語からアメリカ英語へと模範が代わっていった。その時期は50年ぐらい前からではと思う。それにつれて、教える Z の音も代わっていった。
自分が関心を持ったのは、今の中学校では、/zi:/の音で教えているのかと思ったら、/zed/の音で教えているという点であった。学生は4年生であるので22歳だ。学生達が中学一年生の時は、10年ぐらい前の話だ。おそらく中学校の先生の影響だろう。学生の出身の中学校では、/zed/で教えていたということだ。
中学生の段階では、アメリカ英語とイギリス英語の2つの音は教えないほうがよい。つまり生徒は混乱するからだ。すると必然的にアメリカ英語を教えることになる。大学生になったら、世界の英語(World Englishes)ということで、むしろ様々な英語の種類を教えるべきだろう。世界の英語はアメリカ英語だけではない、と教えるべきだ。
冒頭の学生は英語教員を目指している。そんなことで、上記のような話をした。
なお、スマホに『ジーニアス英和辞典』と『ウイズダム英和辞典』を入れてあり、音声が聞こえるようになっている。Zの項目を検索したら音声は両方ともアメリカ英語/zi:/しか吹き込まれていなかった。
さらに、YouTube で『ABCの歌』をいくつか聴いたが、すべて/zi:/の音である。
結論としては、小学生から中学生までは、/zi:/の音を教えて、大学生になったら/zed/の音も教えてイギリス英語は今でも世界で強い影響力があると教えるべきだ。