2014-09-28

Critical thinking とは何だろう。ネットでいろいろと調べてみる。ただ、参考にはなるが、ほどんどが抽象的なことが述べてあり、具体的には何をすればいいのかは自分で考えなくてはならないようだ。要は、既成の考えを鵜呑みにせずに、自分の頭で考えて判断することの薦めと言えるだろう。この技法はメディアリテラシーや異文化理解とも関係する。自分なりに理解したことを下に記す。

(1)自分自身の思考パターンを知ることが大切である。早とちりをする方か、すぐに感情的になるか、細部にこだわるタイプか、とにかく自分自身の思考パターンを知ることである。

(2)先入観を持たない。すべてに対して「それは本当か」という態度を持つ。しかし、過ぎれば懐疑主義者のなってしまい、すべてを疑い何も決定的なことができなくなり、いっさいの行動ができなくなる。どこかの時点でジャンプすることが必要である。今度の正月に海外旅行をしたいが行き先はどこがいいのか検討に検討を重ねていくと結局は結論がでなくて正月がすぎさってしまう、あるいはホテルや飛行機の予約が満杯になることがある。やはり常識の範囲での懐疑を抱くことである。

(3)人々がどのようにして先入観を持つのかその様子を知り、自分がその轍を踏まないようにする。人間はジェンダーや人種に関しては、先入観を持ちやすい。たとえば、「営業部長」という言葉を聞けばわれわれはそのひとは「男」と考える。また、アメリカ人と聞けば、長身の白人でアメリカ英語を話す人と考えるが、英語が覚束ない移民で最近市民権を取った人かもしれない。

(4)人々の風評などを信じないで、自分の目で見る。資料もネットばかりに頼るのではなくて、第一次資料を得ようとすること、つまり自分の足で稼いだ知識にもとづいて判断をすることが必要である。

(5)人の話を聞いた時は、事実と意見をはっきりと区別することが必要だ。悪い情報をもたらすメッセンジャーが嫌われるのは、事実と意見を区別できない聞き手が多いからだろう。身近な例では、論文を投稿して査読に通らなかった場合でも、感情的にならずに、保管して査読に通らなかった理由を考えて後の役に立てるようにする。間違えても、その論文やコメントをくず箱に捨てては行けない。

(6)因果関係を押さえる力を持つことが大切である。おかしな因果関係に人は惑わされることがある。7時前にいつも赤いスニーカーをはいた男が店の前をジョギングする。夕方の7時になるとお店の売り上げが減る。それゆえに、原因「赤いスニーカーの男がジョギングをする」→結果「売り上げが落ちる」と考えがちである。しかし、7時にジョギングするのはその男の習慣であり、たまたま近所の主婦たちはその時間は買い物が済んでいるのかもしれない。

(7)何かの問題に直面したら、それに関することを紙に書いてみるとよい。たとえば英検の1級にどうしても合格できない。どうしたらいいのかという問題を設定してみよう。その時は、関連することを色々と紙に書いてみるといい。あるいはパソコンに打ち込んでみよう。それはなんでもいい。自分はなぜ英検1級に合格したいのか、自分の勉強法はどうか、自宅の勉強の環境はどうか、自分の英語はどの分野が苦手か、対策にどれくらいの時間がかけられるか、などを書いていく。それらを眺めてみると、なにか自分の中で整理整頓ができるだろう。

一般に、自分の抱える問題を人に話すことはよいことである。話しているうちに気持ちがおさまり、自分自身の中で整理整頓できるようになるからである。

(8)言語にだまされないようにする。同じ情報でも英語で書かれてあると権威を持っているように思える。人間はどうしても「やや分かりづらい」ことをありがたがる。お経が「やさしい」日本語で読まれたら、ありがたさは半減してしまうだろう。