子どもがだんだん成長するにつれて、親は丁寧な言い方をするように教育をしていく。例えば、「窓を開けてほしい」というときは、年少の時ならば、Open the window! という言い方でいいのだが、ある程度成長してくると、この言い方では失礼なことになる。母親に対して発したとしても失礼なのである。

そんな時は、母親が、What’s the magic word? と子どもに聞く。すると、子どもは自分は言葉が足りなかったと気づいて、Please と付け加えて、Open the window, please. と言い直すのだ。

人と人とのコミュニケーションでは、適切な丁寧さ(ポライトネス)を選ぶ必要がある。親友同士の間では、極度に丁寧な言い方はかえっておかしい。逆に初対面の人に、馴れ馴れしい口のきき方もすべきではない。

経験を積むにつれて、いろいろなポライトネスのパターンを人は学んでゆくのだ。

先ほどの「窓を開けて」には次の例のようにポライトネスの段階がある(出典:村田和代他 Keep Talking 桐原書店 p.43)。下に行くにつれて、ぞんざいな言い方になる。

Would it be possible for you to open the window?

I’m wondering if you could open the window?

Could you possibly open the window?

Could you open the window?

Would you open the window?

Will you open the window?

Can you open the window?

Open the window, please.

なお、命令形がぞんざいな表現にならない場合がある。それは相手に取って有益なことは命令文でもかまわない場合だ。同じ出典から例文を取るが、Have another sandwich. という命令形を示す。これは「もう一つサンドイッチを食べなさい」という強制する命令文ではなくて、「もう一つサンドイッチをどうぞ」という勧誘の文なのである。

photo credit: Jamie McCaffrey How much is that doggie in the window? via photopin (license)
photo credit: Jamie McCaffrey How much is that doggie in the window? via photopin (license)