2016-05-26

Longman Grammar of Spoken and Written English (1999年)を読んでいる。p.896以降は語順 Word Order を述べている。情報構造とも関連するので自分の関心と重なり読んでいて面白い。いくつか学んだことを紹介したい。

間接目的語と直接目的語の双方が代名詞の場合だが、私は今まで学生には、直接目的語+to 間接目的語という語順が一番自然である。それ以外は不自然であると教えてきた。

しかし、Longman Grammar of Spoken and Written English (p.929) によれば、いくつかのパターンが可能のようだ。

(1)間接目的語+直接目的語
Give me it, you little cow!
Well, they won’t give him it straightway.

(2)直接目的語+to 間接目的語
I’ll give it to him tomorrow.
Give it to me, Pauli.

(3)直接目的語+間接目的語
Give it Nat – good girl, give it me.
“Do let me give it him,” she said.

この本によれば、(1)(2)(3)とも出現すると述べているが、ただし、これらが出現するのはもっぱら会話と小説の時である(正式の書き言葉では少ない)。(2)が使われる例が最も多い。(3)は会話と小説に使われる。(1)が出現するのは会話の時だけである。

直接目的語と間接目的語の両方とも代名詞であり語句が短いので、これらを情報の原理や重点という視点からは説明はできないと述べている。

いっぱんに、この3種の例では、(2)の例が好まれるが、これは文の構造が前置詞をはさむことでよりはっきりとするからである。間接目的語が先に来るほうの(1)と(2)の方の、直接目的語が先に来る例(3)よりもはるかに多い。さらに、(3)の例では、it が直接目的語として使われているときだけである。it は「もの」と考えられるので、it = 直接目的語と考えられやすい。(はるかに多いという判断をしているのは、この本はコーパスの成果を取り入れており、勘で述べているのではない)

さて、私であるが、学生への説明は、従来どおりに、直接目的語+to 間接目的語という語順が一番自然である。それ以外は不自然であると教えていきたい。(1)(3)は、かなり口語的な表現になるからである。

なお、Longman Grammar of Spoken and Written Englishはコーパスの成果を取り入れて、従来の文法書のような誤文という判断をしていない。あくまでも使用頻度数が少ないという説明である。これによって記述の信頼度が高まった。

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