2015-11-30

SV型(第1文型)

まず、5文型は英語の構造を理解していく上で参考になる考え方です。まず、第1文型と言われているSV型から理解していきましょう。主語Sと述語動詞Vからなる構文で、5文型の中では最も単純な形をしています。そこに、修飾語句が付加されて長い文になることもあります。次の例文は第1文型です。長い文であっても、第1文型であることにはかわりません。次の例文ではVは下線で示してあります。

The statue of Dr. Clarke stands. (クラーク博士の銅像が建っている)
I see. (分かりました)
I will try. (やってみましょう)
Somebody may cancel. (誰かがキャンセルするかもしれません)
We are really dashing through the fields.(野原を本当に駆け抜けています)
The scene outside the window changes quickly.(窓の外の景色が急激に変化していきます)

なお、will tryや may cancelや are dashingは、ひとまとめにして、Vと見なします。

自動詞と他動詞

SV型で使われる動詞は、それだけで意味が完結しますので、「自動詞」と呼ばれます(なお、SVC型のように、次に補語を取る動詞も「自動詞」です)。

SVO型のように、目的語がないと意味が完結しないで、次に目的語をとる動詞は「他動詞」と呼ばれています。動詞が自動詞であるか他動詞であるかによって英文の構造が異なりますから、気をつけましょう。

自動詞には2種類あって、SVC型の動詞のようにC(補語)をとるのは「不完全自動詞」と呼ばれ、SV型の動詞は「完全自動詞」と呼ばれています。

I take a shower in the morning. (朝にシャワーを浴びます)→他動詞
I walked back to my house. (私は家に戻った)→自動詞(完全自動詞)
This story sounds too unrealistic.(この話はあまりに非現実的すぎる)→自動詞(不完全自動詞)

itが主語になる場合

主語がto不定詞やthat節である場合、主語が長すぎることがあります。その時に、SVの順に並べると前が重くなるので、itで置き換え、長すぎる主語を後ろに移動させます。置き換えられたitは形式主語、もとの主語を真主語と言います。

To be honest pays. (正直なことが引き合う)
  → It pays to be honest.
To be too strict with your children does not work.(子どもに厳格過ぎるのはよくない)
  → It does not work to be too strict with your children.
Whether he will agree or not does not matter. (彼が賛成するかどうかは問題ではない)
  → It does not matter whether he will agree or not.

下線部が主語の働きをしています。主語が長すぎる場合は、形式主語のitで置き換えて、itを先頭に持ってくる、つまり本当の主語が後ろに下がることになり、すっきりします。これは文末重点とよばれる現象です。また、この構文は情報構造から説明することもできます。情報構造によれば、重要な情報ほど後ろに置かれます。長い名詞句や名詞節はそれだけ情報が詰まっていて重要であることが多いので、後ろに移動するのです。

練習問題1

次の日本語を英語に直しなさい(SV型を使って)。

(1)犬が遠くで吠えていた。
(2)子供達はその光景をみて微笑んだ。
(3)私たちは放課後、校庭でよく一緒に歌ったものだった。

問題点

5文型は複雑ないろいろな英語の文を単純明快に分類したので便利なのですが、欠点もあります。Hanako lives in Kyoto. はSV型なのですが、in Kyoto は副詞句なので省略することも可能だとして、*Hanako lives. は英文として不自然な文になります。そのために、この副詞は義務的な副詞句と考えるといいでしょう。そしてAという符号を与えます。

SV型とSVA型

ここで純粋なSV型を考えると以下のような文で副詞は省略が可能です。

(1) Birds fly.
(2) Such people still exist.
(3) Mary went away yesterday.  (went away はひとかたまりでVと見なす)
(4) The girls are sitting in the garden.
(5) An awful thing has happened.

SVA型は義務的な副詞語句(A)を要求する動詞があります。

(6) Mary is here.
(7) Our car isn’t in the garage.
(8) His house is near the station.

上の文は Mary, Our car, His house がどこにあるかに答えています。そして、be動詞の後に続く語句は答えであり新情報です。ですので、省略することができない。必要不可欠な文の要素なのです。

(9) The road goes through the forest.
(10) The book belongs to me.
(11) Whether we go or not depends on the weather.

副詞句が義務的か否か

次の文では副詞句がなくても成立する文と副詞句がなくなると成立しない文があります。つまりSVA型か SV型かの違いになります。(12)では、run after 「追いかけ回す」という熟語なのでafter で始まる部分が必須なのです。
(12) John ran after Mary.
(13) John ran after dinner.

ポイントは何か?

SV型と覚えましたが、厳密に言えば、SVA型という文型を別個に打ち立てた方が分かりやすくなります。この両者はかなり異なる性質があります。

参考:安藤貞雄著 『現代英文法講義』(開拓社)

足成
足成