2015-11-19

動能構文とは結果を含意しない構文という意味です。hit, strike, hammer, cut, punch, tear, kick, knock, clutch, snatch, shootなどの接触を意味する動詞には、atやonをともなって自動詞として使われる用法があります。これは他動詞の用法と比べて、未達成(non-achievement)の意味が生じます。

(a) Taro kicked the ball. (太郎はボールを蹴った)
(b) Taro kicked at the ball.(太郎はボールを蹴ろうとした)

(c) He struck the dog with a stick. (彼は犬を棒で打った)
(d) He struck at the dog with a stick.(彼は犬を棒で打とうとした)

これらの違いをよりはっきりと理解するために、次の文を考えてみましょう。
(e) Taro climbed the mountain.(太郎は山に登った)
(f) Taro climbed up the mountain.(太郎は山に登った、しかし頂上に着いたかは不明)
(g) * Taro climbed the mountain but he gave up reaching the summit.
(h) Taro climbed up the mountain but he gave up reaching the summit.(太郎は山に登ったが、頂上に到着はあきらめた)
(g)ですが、climb the mountainでは到達したという含意がありますので、到着をgave upしたという文脈とは矛盾するので非文となります。

(i) He shot a bird. (彼は鳥を撃った、弾が当たった)
(j) He shot at a bird.(彼は鳥を狙って撃った、弾が当たったどうかは不明)
(k) *He shot a bird but it flew away.
(l) He shot at a bird but it flew away.(彼は鳥を狙って撃ったが、鳥は飛んでいった)

この場合、shot atでは「弾が当たったかどうかは不明」、shotでは「弾が当たった」という含意があります。それゆえに(k)は非文となります。

次の各組の違いを考えてみましょう。

(1) The boy snatched the travel bag out of her hand.
(2) The boy snatched at her travel bag.

(3) John pulled the rope.
(4) John pulled on the rope.