日本語の助詞

日本語では、助詞の「が」と「は」の使い分けで未知と既知を示します。A man came to our town. The man was very tall and thin. では、はじめのA manは新情報ですので、「ある男が町にやってきた」と未知を示す「が」を用います。次の文のthe manは旧情報になるので、「その男は非常に背が高くてやせていた」と「は」を用いています。

次に、対話文を見ていきましょう。
A 「誰が京都に行ったの?」
B 「京都に行ったのは太郎だよ」

最初のAの発話ですが、「誰が」と質問しています。知らないこと(=新しいこと)を質問しているので、新情報となります。Bの発話は、Aの述べた「京都に行った」を旧情報として受けて「は」を使って答えています。ここでは「太郎」は新情報です。他の言い方ですと、Bは、「太郎が京都に行ったよ」としてもいいのですが、その場合は「が」の前に来る「太郎」が新情報となり、後ろの「京都に行ったよ」が旧情報となります。また、旧情報は省略できることが特徴です。Bは、「太郎」と答えてもいいし、「太郎だよ」と答えてもいいのです。このように、文の各要素の流れに着目すると、日本語では「新情報→が→旧情報」、「旧情報→は→新情報」という流れになります。

S/V/O/Cの配列から言語の普遍性、各言語の共通性を探る動きがありますが、情報構造の上から普遍性や共通性を探る研究が今後必要となってくるでしょう。