Huddleston and Pullum による The Cambridge Grammar of the English Language を眺めている。to不定詞と動名詞の違い(p.1240-41)について紹介してみたい。一般に不定詞は「未来」について、動名詞は「現在・過去」について言及するといわれている。それに関して詳しい説明がある。
(1)bother, intend, plan, propose には不定詞と動名詞が続いたときに違いがない。
He didn’t bother to tell us. = He didn’t bother telling us.
He intends to leave tomorrow. = He intends leaving tomorrow.
attempt も同じように不定詞と動名詞が続いても同じような意味である。
She attempted to walk without the stick. = She attempted walking without the stick. (注→類義語 try では、不定詞と動名詞の場合では意味が明らかに異なる)
[しかし、ウイズダム英和辞典第3版(p.125)では、attempt に動名詞が付くのは「比較的まれ」と記述してある。]
(2)相に関する動詞(aspectual verbs)では、continue は同義である。
He continued to see her every Sunday. = He continued seeing her every Sunday.
しかし begin/ start に関しては事情が異なる。
I began to understand how she felt. ≠ ? I began understanding how she felt. 動名詞は現在進行中の活動(ongoing activity)を指す。この例文の動名詞を用いた understanding situation では、あまりに静止的(static)であると感じられて不自然な文になる。She began explaining how she felt. ではexplain はすでに始めている動作なので自然な文である。
動名詞は存在文には相応しくないことも、この点と関係する。
* There began being some grounds for hope of an improvement.
(3)違いがある場合。
I like to stay home at weekend. I like staying home at weekend. 人が森の散歩を誘ったらら断るときにつかうのは左の文である。自分はとにかく自宅にいたいという意味では右の文である。
不定詞はchange を含意しているが、動名詞はactuality を含意している。
I’d like to be a politician. I’d like being a politician. 右の文では、現在の状況(actuality)を示すので、I’d like/enjoy a life of a politician. の意味になる。不定詞では「なりたい」の意味である。
不定詞は「未来」、動名詞は「現在・過去」という風に学生に理解してきたが、Huddleston のように不定詞はchange、 動名詞はactuality という風に理解した方が分かりやすいかもしれない。