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このところ、森友学園の籠池氏の証人喚問に関して、「忖度」という語の英訳をどうするのかという問題が出てきた。
私はお恥ずかしいながら、「忖度」という語を知らなかった。そもそもどう読むのかも分からなかった。「そんたく」と読むらしい。どうやら「相手の気持ちを推測するらしい」が、それだけでは不十分であり、「自分の上位の人の気持ちを、相手から何も言われなくても、推測して先回りして行動すること」らしい。
ウイズダム和英辞典では、「人の気持ちを忖度する」とあって、guess [gather, imagine] others’ feelings. とあった。
ジーニアス和英辞典では、「相手の気持ちを忖度する」とあって、guess [surmise] how the other feels とあった。
ただ、これらの表現では、自分より上位の人、権力のある人の気持ちを推し量るという点が抜けている。
たしかに、「泣いている娘の気持ちを忖度して、チョコレートを買ってやった」というような表現は不自然になる。「総理大臣のお気持ちを忖度して、この法案の検討を早めた」のように使うらしい。
以下は、「Huffpost, 「忖度」は英語でどう通訳された?籠池会見で外国人記者に」からの抜粋である。
「安倍晋三氏や昭恵夫人の直接の口利きはあったのか?」との質問に対して、籠池氏は証人喚問と同様に「直接ではなかったが忖度があったと思う」と答えた。
そして「忖度」の意味について、一人の通訳の男性が次のように述べている。
There are several different ways to say this; whether it’s “conjecture” or “surmise,” “reading between the lines,” “reading what someone is implying.” So there is not one direct word in English which is what lead to this, just to add some information.
つまり訳すのは難しい語であると言っているのだ。なお、ニューヨークタイムズでは、以下のように報道されたそうだ。
Thursday afternoon, Mr. Kagoike said he did not believe Mr. Abe had “direct influence” on the discounted land deal.
He hinted at “powers at work behind the scenes” and said that unidentified officials in the Ministry of Finance had helped facilitate the deal.
その場の雰囲気を読んである官僚がその取引をすすめる手助けをした(unidentified officials had helped facilitate the deal )と説明している。
日本独特の「場の空気を読む」「腹芸」は、言葉ではっきりと伝える西洋社会の人間からすると不思議な慣習のように思えるのだろう。でも、ニューヨークタイムズは苦労しながらも、日本社会の今回の慣習についても何とか説明している。