消火器の使い方の掲示を見ると英語と日本語の並記である。その英語の部分に注目する。英語も分かりやすい。
Fire Extinguisher (1) Pull out the safety pin. (2) Draw out the hose. (3) Squeeze the lever. である。
この(2)では、日本語は「ホースをはずし、火元に向ける」とある。このように消火器のホースは hose とスペルされているから「ホース」と発音したくなる。しかし、英語では /houz/という発音で「ホウズ」となる。
このようにカタカナ英語と実際の英語の音が「ス」と「ズ」のように異なる例をいくつか挙げる。
cosmos (コスモスの花、宇宙)は、/kazməs/である。それゆえに、英語では「コズモス」と有声音の発音となる。
news は日本では「ニュース」と呼ばれているが、/njúːz/という発音なので、英語では「ニューズ」という発音になる。
newspaper は、アメリカとイギリスでは発音が異なるようだ。 /njúːzpèɪpɚ/ (米国英語), njúːspèɪpɚ/(英国英語)である。なお、イギリスでも若い人を中心に/njúːzpèɪpɚ/とアメリカ式に発音する人が増えていると聞く。
プロ野球の球団名の「阪神タイガース」だが、耳で聞くと「タイガーズ」と「タイガース」の2種類あるようだ。しかし、正式の名称は「阪神タイガース」(The Hanshin Tigers)である。Hanshin Tigers なので、語尾は/z/となり、英語風に発音するとしたら、本当は「タイガーズ」との発音がいいのだろう。
なお、東京ヤクルトスワローズ(The Tokyo Yakult Swallows)は、「ズ」と発音するので英語風の発音をしている。
下着の「ズロース」は、英語ではdrawers /drɔːərz/であるので、これは「ズ」と発音した方がいい。
このように、カタカナ英語の「ス」が英語の「ズ」に該当する例がいくつかある。逆の例を一つ、「あの人はルーズな性格だ」と日本語で言うが、loose は/lu:s/であり、ルースという発音が英語に近い。
(追記)「スムースにことが運ぶ」などと言う。これは「スムーズに」とも言う。日本語では、スムース、スムーズと両方が可能だが、英語では、smooth /smúːð/とあるので、スムーズという発音の方が英語に近いのだ。
