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同化(assimilation)

同化とは

二つの音が連続する時に、一方の音が他方の音に似てくる現象を同化という。

同化という現象は、以下のようにいろいろと分類される。

(1)調音位置の同化

(2)調音様式の同化

(3)声の同化

(4)進行同化、逆行同化、融合同化

(5)完全同化と不完全同化

調音位置の同化

horseshoe では、horse の最後の/s/音が shoe の先頭の/ʃ/に影響されて、/hɔ́ːrsʃùː/から/hɔ́ːrʃʃùː/となる。これは調音点が歯茎音から硬口蓋歯茎音に変化したのである。

調音様式の同化

obvious の/b/であるが、この音は/β/になる。/b/は破裂音であるが、直後に/v/という摩擦音が来る。その影響で、/b/は摩擦音の/β/になる。

声の同化

of course では、of は/ov/の音であるが、無声子音/k/の前にあるために、有声音/v/が無声音/f/に変化している。

声の同化、調音位置の同化、調音様式の同化の、二つ以上が同時に同化する例もある。下にあげた例 twenty では/n/が続く/t/を/n/音に変えているが、これは無声音を有声音にした(声の同化)と同時に、破裂音/t/が鼻音/n/の影響を受けて鼻音になっている(調音様式の同化)。

進行同化

影響が前から後ろに及ぶ同化を進行同化という。twenty は/twénti/であるが、/n/が後ろに続く/t/に影響を及ぼして/n/に変えてしまい、/ twéni/となるのがその例である。

bacon /beikn/ は/k/が直後の/n/に影響を与えて、/ŋ/の音になる。つまり/beikŋ/のように発音される。

動詞の過去接尾辞/+d/では、語幹が無声の破裂音や摩擦音で終わる場合には、無音声化して/t/ として具現化される。liked/laik+d/ → /laikt/

逆行同化

影響が後ろから前に及ぶ同化を逆行同化という。of course では、of は/v/の音であるが、無声子音/k/の前にあるために、有声子音/v/が無声音に変化している。これは、無声子音/k/が前の音/v/に影響を与えて無声音化しているのである。

もしも、これが進行同化であれば、/v/の音が/k/を有声音化して、of course は「オヴゴース」という音になると考えられる。

融合同化

miss you は、/mis ju:/であるが、早い速度で交わされる会話の場合は、/mIʃ/と、全く新しい音/ʃ/が使われている。ここでは二つの音が相互に影響しあって同化を起こしたと言わざるをえない。これは融合同化と言う。

完全同化と不完全同化

horseshoe, twenty では同化の結果、影響を与えた音と影響を受けた音が同じになる。このような同化を完全同化という。

comfort, bacon などのように完全には同じ音にならない場合は、不完全同化という。