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英語の文末焦点と文末重点

英語の文末焦点と文末重点

英語は重要な語句や長くて重たい語句そして情報的に価値のある語句は文の後ろの方に置かれる傾向があります。

文末焦点

文末焦点の原則(principle of end-focus)とは、ある構成素が文末に移動して、そこに新情報の焦点が置かれることです。次の例文の下線部が該当します。ここでは、旧情報→新情報の流れとなっています。

(a) This poem was written by Wordsworth.
(b) What I want is money.
(c) Then came the second blow.  (もとは The second blow came then. という文であったが the second blow を強調するために倒置された)

(d) “The most surprising news coming out of the convention was not who received the presidential nomination or the terrible riot, but the vice presidential candidate: Governor Spiro Agnew, the 49-year-old Maryland governor.
(Walter LaFeber, The Deadly Bet: LBJ, Vietnam, And The 1968 Election. Rowman & Littlefied, 2005) 副大統領の候補としてAgnew が選ばれたことが意外だったということです。(出典 http://grammar.about.com/od/e/g/End-Focus.htm)

☛日本語の文では動詞が文末に来るという特徴があります。焦点が当たるのは、動詞の直前にある語句が多いようです。下線部に焦点が当たります。

(e) 私は太郎にその本を渡した。
(f) 私はその本を太郎に渡した。
(g) その本を太郎に私が渡した。

文末重点

文末焦点の原則とは別に、英語には「重い」要素をできるだけ文末近くにおいて頭が重たくなることを避けようとする傾向があります。これを「文末重点の原則」(principle of end-weight)と呼びます。長い語句(重い要素)が先に出てくると記憶が覚えていられません。その意味では、文末に置くことは記憶の効果をあげるという点からも当然なことと考えられます。

(a) She visited him that very day.(彼女はまさにその日彼を訪ねた)
(b) She visited her best friend that very day. (彼女はまさにその日自分の最上の友人を訪ねた)
(c) She visited that very day an elderly and much beloved friend. (彼女はまさにその日に年配でとても敬愛している友人を訪ねた)

(注、上記の文では on that very day, that very day の両方が可能です。どちらかというとイギリス英語ではonを付け、アメリカ英語では付けない傾向があります。)

これら文末焦点(旧情報→新情報)と文末重点(軽い要素→重い要素)の2つの原則は矛盾するのではなくて、両者が一致する場合が多いのです。旧情報を担う要素は代名詞化されたり省略されたりするので、相対的に新情報を担う部分は重みがあって複雑になる傾向があります。

文末重点の様々な例

(A)関係副詞節が文末へ行きます。
The day when you’ll regret it will come. →The day will come when you’ll regret it. (あなたが後悔する日が来るでしょう)

(B)補部節が外置されます。
I feel sorry for her, but the fact that she lied to us remains. →I feel sorry for her, but the fact remains that she lied to us. (彼女のことは気の毒だと思うが、彼女が我々に嘘をついたという事実は残る)
A rumor that the teacher is ill has been circulating. →A rumor has been circulating that the teacher is ill.(その先生は病気だという噂が流れている)

(C)for+目的語+to doの構造が後ろに移動します。 この場合は形式主語としてIt が置かれます。
For you to ask John would be the best thing. →It would be the best thing for you to ask John.(あなたがジョンにお願いするのが最上の方法です)

(D)所有型かof 構文を用いるか 所有型かof構文の選択はしばしば、文末重点の原則から説明されることができます。アポストロフィのかかる部分が長いとof 構文にして文末に移動します。
I found my great grandfather’s maid’s purse.→ I found the purse of my great grandfather’s maid. (私は曾祖父のメイドの財布を見つけた)

(E)itが形式主語となり重たい真主語は後ろへと移動する 
主語や目的語が長くて重たい場合は it で置き換えて文末に重点が置かれるようにします。これは、文末焦点の原則、つまり焦点を後ろの要素に合わせるために文末へ移動するとも考えられます。 つまり、文末重点=文末焦点となります。
That she was killed in a traffic accident surprised us. →It surprised us that she was killed in a traffic accident.(彼女が交通事故で亡くなったことは私を驚かせた)

(F)目的語や主語を下げる
目的語や主語の位置にあった句や節を後ろに下げます 。もとの箇所をは it で置き換えられます。
You must find working here enjoyable. →You must find it enjoyable working here. (ここで働くのは面白いと思うはずです)
What she looks like doesn’t matter. →It doesn’t matter what she looks like. (彼女がどんな風かは関係ない)

これも、itで主語や目的語を置き換えて、重たい真の主語や目的語を文末に持って行くことは、結局は情報価値の高いものを後ろに置こうとすることと同じことです。

(G)統語的な制約がある。 
ただし、重たい要素で、情報が詰まっていても統語上の規則で文末までは行けない場合もあります。たとえば、(b) の sleeping on the sofa for three hours は重たい要素ですが、せいぜい girl の前から後ろへと移動するだけです。
(a) A sleeping girl is my daughter’s friend. (寝ている女の子は娘の友人です)
(b) A girl sleeping on the sofa for three hours looks sick.(ソファに3時間も寝ている女の子は病気のように見えます)

練習問題

次の文を訳して、文末重点の原則にあうように書き換えなさい。
(1) Whether he will be able to come is doubtful.
(2) A review of my latest novel appeared.
(3) A rumor that John was engaged to a foreign princess circulated widely.
(4) The legend that he was a ghost grew.

ポイント

英文を見て構造が分かりにくい時は、主語や目的語が文末重点(焦点)の法則のために分割されていないか、Itで置き換えになっていないか、倒置になっていないか、調べてみてください。

photo credit: Påskekort ca. 1907 / Easter Card ca. 1907 via photopin (license)