英語の半母音は/r/,/j/,/w/ の三種ある。母音は息の続く限り発することができるが、半母音は次に母音が続くときは、次の母音の構えにすぐに移行する。そのために、移行音(Glide)とも呼ばれている。

/r/について

アメリカ英語とイギリス英語では/r/の音に相違があるが、ここではアメリカ英語を主に述べていく。

アメリカ英語の/r/には、2種類ある。一つは盛り上がり舌母音(bunched vowel)であり、舌は硬口蓋と軟口蓋の境目あたりに向かって盛り上がる。もう一つはそり舌母音(retroflex vowel)であり、舌先が反り返って硬口蓋の前の部分に近づく。

日本語の「ラ行」は子音である。舌の先が硬口蓋に触れる。英語の/r/は半母音でその性質は母音であるから息の流れをふさがない(つまり硬口蓋に触れることはない)。

アメリカ英語では、/r/が母音の 後に現れるときは、先行する母音と二重母音を形成する。R音性母音と呼ばれていて、発音記号で示すときは、/ɚ/ フックトシュア (hooked schwa, hook diacritic)である。なお、/ɚ/と/r/は同じ音素であるとも言える。

Wikipediaでは以下のように説明をしている。

R音性母音(アールおんせいぼいん)とは、r音のような音色を備えた母音のことをいう。
母音を調音する際にそり舌音のように舌尖を反らせたり舌を盛り上げたりすると、咽頭に狭めが生じる。その狭めによって母音がr音のような音色を備えることになる。これをr音化と呼んでいる。

アメリカ英語の/ɚ/には、/r/と同じく、2種類ある。一つは盛り上がり舌母音(bunched vowel)であり、舌は硬口蓋と軟口蓋の境目あたりに向かって盛り上がる。もう一つはそり舌母音(retroflex vowel)であり、舌先が反り返って硬口蓋の前の部分に近づく。

/j/について

/j/音は舌の両脇が硬口蓋に触れて舌の中間はくぼませ空気の通り道を作る。しかし、/j/には絶対的な位置があると考えるよりも、後続する母音よりも舌の位置が前寄りで高く舌の丸みを伴わない(つまり、口は歯が見えるくらいにやや横にひく)。

/w/について

/w/の絶対的な位置はなくて、後続する母音よりも舌の位置が後ろ寄りで高く、唇が丸まっていることが特徴である。

日本語の「ワ」の子音は唇の丸みが少ないので、日本人が英語の/w/を発音するときは、意識して唇を丸めるようにする必要がある。

photo credit: typexnick surprised via photopin (license)
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