2016-08-04

/t/ /d/は歯茎破裂音である。/t/は、無声歯茎破裂音(むせい・しけい・はれつおん)と呼ばれる。舌端と歯茎で閉鎖を作って開放することによって起こる破裂の音である。

/t/ 無声の歯茎破裂音

英語の/t/は歯茎音である。舌先がやや上向きになり歯茎に触れる。しかし、日本語の「タ」「テ」「ト」の子音/t/は一般に歯音であり、歯の後ろに接する。つまり、英語では日本語よりも舌が接する位置が高いのである。

アメリカ英語の特徴の一つとして、「有声のt」(voiced t)がある。強い強勢を受けた母音と弱い強勢を受けた母音の間に現れる。そのために、有声化するのだが、舌先と歯茎の接触が不十分であり、舌先が歯茎を軽くたたくだけの音となる。たたき音(tap) で[ɾ] と記される。厳密に言うと、触れる部分が点的な tap(たたき音)と面的な flap(はじき音)の二つがある。スペイン語や日本語に現れるものは tap であるが、アメリカ英語に現れるものは flap である。

日本人にはこのたたき音が、日本語の「ラ行」に似ているので、water, matter, beautiful, city は「ウォーラー」「マラー」「ビューリフル」「シィリー」のように聞こえることがある。これはくつろいだ会話の時に発音されるのであり、改まった場では、/t/で発音されることが多い。

/d/無声の歯茎破裂音

/d/は、有声歯茎破裂音(ゆうせい・しけい・はれつおん)と呼ばれる。舌端と歯茎で閉鎖を作って開放することによって起こる破裂の音である。

width のように、歯音の前では、舌先が歯茎ではなくて、上の歯に接触するのであり、有声歯閉鎖音となる。

アメリカ英語は、母音間の/d/も舌先の歯茎への接触が不十分になり、たたき音[ɾ] と似てくる。riding, middle, ambassador などでは[ɾ] となる。また、有声の歯茎音と無声の歯茎音の違いがつきにくくなる。ladder と latter,  pudding と putting である。この場合も、有声子音の前の母音の方が無声子音の前の母音よりも長いという法則があるので、見分けることが出来る。

英語の/d/は歯茎音である。舌先がやや上向きになり歯茎に触れる。しかし、日本語の「ダ」「デ」「ド」の子音/d/は一般に歯音であり、歯の後ろに接する。つまり、英語では日本語よりも舌が接する位置が高いのである。これは/t/と同じになる。


参考:竹林・斎藤 『英語音声学入門』 大修館書店

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