2015-11-09

指示代名詞の種類

指示代名詞とはthis these とthat thoseの4語です。this/ theseは近いもの、that/ thoseは遠いものという2項対立があります。それは話し手にとって空間的・時間的・心理的に近い・遠いの違いとなります。一方、日本語の指示詞は「これ・それ・あれ」と3項対立です。「これ」は自分の領域、「それ」は相手の領域、「あれ」は自分にも相手にも属さない領域を示します。以下のように対応します。

英語              日本語
This               これ
That               それ あれ

そのためにthisは「これ」と訳すればだいたい間違いないのですが、thatは「それ」と訳したり「あれ」と訳したりと使い分けする必要があります。

直示用法(deictic use)
thisは話し手の領域の中のものを指示します。thatは話し手の領域の外のものを示します。領域の外にあるので、それに対応してネガティブな感情を示します。下の例文では、(c)「その汚い~」、(d)では「そんな風に」という訳になります。一方、(e)は、over thereがあるので聞き手のそばにあることはなくて、「あれは」という訳が該当します。

(a) This candy is for you.(このキャンディをあげます)
(b) This is Hanako, Mum.(お母さん、この人は花子さんです)
(c) Give me that filthy candy! Don’t put it in your mouth.(その汚いキャンディをよこしなさい。それを口の中にいれてはいけません)
(d) Don’t talk to your mother like that.(自分の母親にそんな風な口の利き方をしてはいけません)
(e) That is the Statue of Liberty over there.(向こうにある、あれが自由の女神です)

テクスト内照応的指示(テキストの中の何かを指します)
順行照応的な指示のとき。
This is what he said, “How foolish she was!”(これが彼が述べたことです。「彼女はなんと馬鹿なんだ」)→ThisはHow以下の文を示している。

逆行照応的な指示のとき。
Who will do it? That is the question.(誰がそれをするの。それが問題なのです)
He has apologized; this shows that he is sorry.(彼は謝りました。このことは彼が申し訳なく思っていることを示します)

注意:順行照応的とは、次に来る文の内容を指すことを意味しますが、逆行照応的とは、指し示す語が先行する文の内容を指すことです。

photo credit: IMGP2175 via photopin (license)
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